そしてついにやって来たクリスマスイブ当日。
前日は遠足に行く時のようにドキドキしてなかなか眠りにつく事が出来なかった。
そのせいで朝は少し寝坊気味だったけれど、あらかじめアラームを早めに設定しておいたおかげでクリスマスデートに遅刻という失態は回避出来そうだ。
着る服も決めておいたし、後はヘアメイクをするだけ。
普段はナチュラルな事が多いからそこはそのままにしつつも、特別な日の今日。
少しでもミナトに可愛いと思って欲しくて、こっそりメイクの勉強もした。
「はあ⋯、ドキドキするなぁ」
好きな人と過ごす初めてのクリスマスイブ。
小さい頃にサンタクロースを待っていた時よりもドキドキは勝る。
だけどもちろん楽しみもあって。
クリスマスイブというだけで気分が上がる。
ミナトと会えると思うと幸せでいっぱいになる。
「ミナト、喜んでくれるかな⋯」
胸を弾ませながら、わたしは前もって買っていたプレゼントを大事にバッグに仕舞った。
もちろん、お父さんには出掛けるとだけ伝えてある。
お父さんの事だから会う人がミナトという事はわかっているだろうけれど、今日も仕事な為わたしを見張っている事は出来ないだろう。例え見張られていたとしてもわたしはミナトの元へと向かうけれど。
だけど幸いな事にお手伝いさんの誰にも止められる事なく家を出る事が出来た。
きっと、わたしがどれだけ反抗したとしても最後にはお父さんの思う通りになると思っているのだろう。
そう思ったら憂鬱な気分になるけれどせっかくの今日をそんな気分のまま過ごしたくはない。
今日はミナトとたくさん笑って楽しく過ごそうと決めたのだから、陰鬱な気持ちは仕舞っておこう。
「よし、行ってきます!」
こうしてわたしは家を出た。