着々と過ぎていく季節の中で、わたしにはミナトと過ごす時間だけが宝物だった。
お互いに都合はあるしミナトはアルバイトだってしているから毎日というわけではないけれど、都合が合う日には一緒に過ごす事が当たり前になった。
放課後に買い物をしたり、お茶をしたり。
休日は映画館に行ったり。
窮屈で焦りはがりが募る毎日で、ただミナトといる時間だけが心を柔らかくしてくれていた。
そして今日も、放課後の喫茶店でわたしはある物を持ってミナトへとその“ある物”を見せた。
「ミナト!見て見て!じゃーん!」
「あ、完成したの?」
「うん!昨日の夜完成した!」
コトリ、と音を立ててテーブルの上に置いたのは、前にミナトと出掛けた時に買った桜のパズル。
あの日からコツコツとピースを嵌めていき、昨日完成したばかりだ。
ミナトに見て欲しくて額に入れて崩れないようにして持ってきた。