休み明け、だるすぎる月曜日。

精神的にだけじゃなくて体がだるくて重い。

土日はなんとも無かったのに、朝目覚めてから学校に来るまでの足取りが異様に重かった。

来てみたのはいいけれど、頭がもんもんとして授業どころじゃない。

受験生だというのに勉強に集中出来ないなんて最悪以外の言葉が見つからない。

寝ずにノートにペンを走らせ、午前中の授業は耐え抜いた。


「碧萌ちゃん大丈夫?」


夏帆ちゃんが心配そうに見つめてくる。


「う~ん。大丈夫じゃないかも。保健室行ってくるね」

「一緒に行こうか?」

「ううん、大丈夫」


昼休みになるやいなや私は保健室を目指して歩きだした。

あの大雨に1時間以上打たれてたんだからそりゃ体調不良になるよね。

2日間ぴんぴんしてたのが嘘のよう。

もしかしたら、颯翔くんの魔法にかけられて風邪が抑制されていたのかも。

だけど会えない時間があったから魔法が切れて、風邪菌が潜伏期間を経て覚醒したんだ。

なんて本気で思ってたら、かなりヤバイやつだ。

風邪より重症な妄想癖と中二病。

階段をゆっくりゆっくり降りていく。

と、その時だった。


――ドンッ!


「きゃぁっ」


前方から突進してきた男子と衝突してバランスを崩し、そのまま前のめりになり反射的に目を閉じた。


「大丈夫か?」


ん?

私...意識ある。

転げ落ちなかったんだ。

そしてこの声は...。


「颯翔くん...」

「ちなみにおれもいるよ~。ってか、大丈夫?顔赤いよ」


颯翔くんがすかさず私のおでこに右手を乗せる。

こんなことされたら熱上がりまくっちゃうよ...。

抱き抱えられてるだけでも心臓が止まりそうなのに、触れられたらもう意識喪失レベル。


「この前の服返そうと思って持ってきたんだけど、それどころじゃないな。保健室行こう」

「えっ...ちょっ...」


両腕で抱き上げられた。

これって、これって...これって...!


「お、お、お姫様だっこ~?!」


って、なんで樹くん言っちゃうの?

恥ずかしい。

死んじゃう。

まだ殺さないで。

お願い、止めて。

私は目をつぶり、必死に顔を手で覆った。

恥ずかしいので、どうか見られませんように。

願っても無駄なのは分かってる。

鼓膜を震わすざわめき、悲鳴。

颯翔くんの腕の中にいるのが私でごめんなさい。

心の中で謝りながら早く保健室に到着することを祈った。