しばらく 連絡が途切れていた聡から 上京するとメールが来たのは 達也と別れて 半年が過ぎた頃だった。
 
《東京、案内してくれる?》

出張の後で 時間が取れるという聡。
 
《夜はガイド料金、割増だよ》

と返信しながら、美咲は少し嬉しかった。


聡とは、成人式以来会っていない。

聡にとって、美咲が嫌な思い出ではなく また会う気になってくれたことが 嬉しかった。
 


金曜日の夜、待ち合せの時間よりも 早めに有楽町の駅に着いた美咲。

少し待っていると 懐かしい顔が見えた。


美咲が胸の前で 小さく手を振ると、聡も笑顔で走ってきた。
 
「久しぶり。」

美咲が言うと、
 
「うん。美咲、また綺麗になったな。」

と聡は眩しそうに美咲を見つめた。
 
「また、うまいこと言って。」

調子の良い聡に、美咲は笑ってしまう。
 


「俺、腹ペコ。美咲、どこか案内して。」

と聡が言い、二人は歩き出す。


男性と二人きりで過ごすのは、達也と別れて以来の美咲。

少しドキドキしてしまう。


金曜の夜の人混みに 聡は、自然と美咲の肩を抱く。