長かった夏休みが明けた9月の上旬。
「えーま。おはよ」
「あっ、お、おはよう」
いつもと変わらない朝。
目を覚ましたら、真っ先に悝世の寝顔が飛び込んできて、少ししたら眠ってる悝世を起こして。
あの日……悝世に言われた"もっと幼なじみらしくする"っていうのは、どういうことなんだろうって。
あれから気まずくなるかと思ったけれど、悝世はいつもと変わらずに接してくるし。
「はぁ……今日も撮影だるいから風邪ひきたい」
と、こんな感じの調子で。
「なんか悪寒がする、これ風邪だよね?」
「冷房のせいだからちゃんと撮影行かないとダメだよ」
でもひとつだけ変わったこと。
それは……。
「ねー、依茉?」
「ひゃっ、な、なにっ」
「俺のネクタイどこ?」
「へ……っ?」