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ウサギたちの失踪が解決してから、数日が経った。

私の朝はいつもどおりにはじまった。

聖が目を光らせてくれてるおかげで、晶くんの侵入もなくて、なんだか髪型も珍しくばっちりと決まった気がする。


「まりりん、おはよー♪」

「茉莉ちゃん、おはよう」

「………」

待ち合わせをしてるわけじゃないけど、家を出る時間が同じなので、いつも玄関のドアを開けるタイミングも一緒だ。


相変わらず晶くんはピンク色のTシャツを制服の下に着たりして。だけど派手じゃない晶くんは想像できないし、水玉のスニーカーを履きこなせちゃうのがさすがだなって思う。


「茉莉ちゃん今日はポニーテールなの?可愛いね」

昴さんは褒め上手。

口が上手い男は信用できないって景ちゃんが言ってたけど、褒め方も自然だし、なによりそれが嘘でも心が弾んでしまうのが昴さんマジックだと思う。

そして、そんなふたりと違って聖は……。


「ふあ……」

眠たそうに、大きなあくびをしてるだけ。