朝6時57分。俺は瑠南の家のインターホンを押した。


俺がインターホンを鳴らし始めて3回目、反応なし。約束通り、来たのにな。
瑠南の家はみんながみんな寝起きが悪くて、一縷の望みと言ったら璃叶くらいなもの。


今日はその望みすら絶たれた、というか……。


「はぁ……」


俺は瑠南の母さんから渡されている家の合鍵をポケットから取り出して、鍵を開ける。


瑠南が練習に遅れないように、万が一家族全員が寝ていて、なんてことがあった時用に渡されている鍵。
まぁ、万が一、どころか3日に1回ペースでこの鍵を使っている気もするけど……。


でも……よく、まぁ、別れてもまだ渡しておいてくれるな、なんて思う。
付き合い始めた時も、別れた時もその理由も、全部瑠南の母さんには話している。