泉海さんの涙の理由と
“好き”と言葉にしたジンへの気持ち。

そして…
泉海さんを庇ったジンは
明らかに何か別の感情を持っているという事。


大学時代に片思いしていた先輩と後輩は
数年の月日を経て
お互いの心が通じ合ってしまった。


アタシはもう
懐疑的思考になっていた――――



「…朝、か」


ベッドに顔を伏せていたため
カーテンの隙間から零れる日差しに
外が明るくなっていた事にようやく気が付いた。


頻脈とジンの事を一晩中考え込んでいたせいか
全然眠れなかった…
まだ心臓はドキドキしたままだし
元気が出ない…


ジンは心配してなのか
何度かドアをノックする音が聞こえてきたけれど
1度も開ける事なく返事すらしなかった。

些細な抵抗…
なんかアタシ
子供みたいな事してるな…。


ベッド横のサイドテーブルにある置時計は
朝の6時を指している。


「シャワー…浴びてこよ…」


気怠い体をなんとか動かし部屋を出たが
そこにジンの姿はない。

どの部屋からも
いる気配も感じない。




その代わり
テーブルにメモが1枚。