「ちょ、なんで入ろうとしてるんですか……!」

かぶっていた布団の半分がいきなりまくられたかと思うと、

その中に夏目くんが入ろうとするので慌てて布団を持つ手に力を入れてそれを制す。

「じゃないと郁田さんにさわれないでしょ」

「さわらなくていいからっ」

「さわらないとできないでしょ」

「意味わかんない!なにが!入ってこないで!」

みんなから慕われるイケメンにこんなこと言ってると絶対怒られそうだけど、そんなの今は関係ない。

緊急事態である。

私は今体調が悪くて休んでいたんだから。
こんなことされても困るよ。

「ここまでしてもまだ、言ってる意味わからないとか言わないよね?」

そう言ってこちらをまっすぐ見つめる夏目くんの顔がほんのり赤い気がして、どこか焦ってるよう。

なんなの一体……。

全然、私のイメージしてた夏目くんじゃない。

「郁田さんとしたい」

まっすぐ目を見て話す彼に向かって、

「無理です」

私ははっきりそう言った。