なんで……。

「何してるの夏目くん。離して」

私をベッドに押し倒して、見下ろしてる夏目くんをギッと睨む。

「何ってさっきの続きだけど」

「はぁ?!」

今の流れでこれは絶対おかしいでしょ!!

いや、油断していた私が悪いのかも。

「散々俺のこと励ましておいて、やめろはないんじゃない?郁田さんって俺のこと好きなのかなって思っちゃった」

「はぁー?!バカじゃないの?!落ち込んでる人がいたらそりゃ……」

「相手が嫌いな人でもそうするんだ?それやめたほうがいいよ。完全に思わせぶりだ」

「……っ、」

優しさと思わせぶりの境目なんてわからない。

どうしたら正解だったの。

夏目くんのあの大きな怪我の跡を見ても、ほっとけばよかったってこと?

今の夏目くんのことは置いておいて、彼が辛い思いをしていた過去を知ってしまった以上、

少しでも、何か、そこから彼が一歩、前進することができたらと思うのが、そんなに変なこと?