ケータイ小説 野いちご

保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

脱がさないで
菜花 side


「ついた」

「うわ……本当に近いんだ」

「……『本当に』って。嘘ついてまで俺が郁田さんに変なことするとでも?」

「別に、そんなこと言ってないでしょ!」

歩いて10分。

夏目くんの家は動物園から本当に近かった。

よけい、わざわざ電車に乗ってまで私のことを迎えにきた彼の行動の理解に苦しむ。

そのまま動物園に向かった方が良かったじゃん。

なに考えてるの。

一般的な2階建ての一軒家。

ていうか、ノコノコとついて来ちゃったけど本当に大丈夫?

濡れたままの身体が気持ち悪くてこのまま電車に乗るのは嫌だと思ったから。

それに……。

『うち乾燥付きだから』
そんな夏目くんのセリフに心揺らいでしまった。

夏休みしょっぱなから風邪なんてそんなことも困るし。

今日は一日曇りだと天気予報で聞いてたけど、まさか雨が降るなんて。

着てるズボンの裾には動物園で跳ねたんであろう泥がついていて、さらに気分が下がっている。

この格好で電車に揺られてそのあと歩くなんてのは、ちょっと……。

考えただけで気が引けてしまうけど。

でも、やっぱり、夏目くんの家にお邪魔なんてやめた方がよかったかなと後悔の気持ちも押し寄せてきて。

足が重い。

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