「薔薇の花って、なんか狂気じみてると思うわぁ。里ちゃんも、そう思わん?」 そう言って笑ったのは誰だっただろう。 忘れてしまったけれど、 そいつの中にある“それ”は 全体的には赤色なのに、所々白の部分があって。 その赤は 何かの液体の様に、 酷く滑(ぬめ)っているように見えた。 そいつの手の中にある“白薔薇”1輪からは、 噎(ム)せる様な 強い鉄の匂いがした