期末テストが終わり、夏休みが始まった。

桃田さんの仕事も忙しくて、クルーザーでデートして以来会えていない。

だけど、桃田さんは夏休みに入ったらおばあちゃんに挨拶に行くと言ってくれていた。


「華ちゃん、今日から働いてくれる事になったキムラ君」

バイトに行くと、店長に新人を紹介された。

「華ちゃんと同じ高校2年生だから、よろしくね」

「はい」

今まで一二三に、高校生のアルバイトは私だけだったから、同世代が来てくれたのは嬉しいな。

「夏休みの間、タナカさんは子育てで休みだから、華ちゃんがキムラ君にいろいろ教えてあげてくれるかな」

タナカさんは小学生の子どもさんがいて、夏休みの間は一二三を休むらしい。

だから私がキムラ君に教えることになった。

「和泉華です。よろしくお願いします」

キムラ君は人懐っこくて、すぐに店長やみんなと打ち解けていった。

「華ちゃん、今度合コンしない?」

「しないです」

人懐っこいと言うか、ちょっとチラい?
だけど話しやすいし、お客さんにも人気があるんだよね。

「えー、やろうよ。俺イケメン集めるから」

「私、彼氏いるので」

桃田さんに会いたいな。
毎日メッセージを送ってきてくれるけど、一瞬でもいいから会いたい。

「いらっしゃいませ」

あ!桃田さんだ!
店内に入るなり和菓子を見るんじゃなく、桃田さんは私の元まで来てくれた。

「華ちゃん、お疲れさま」

「桃田さんっ!」

まさか、会えるなんて思ってなかった。
和菓子を買いに来てくれただけだろうけど、会えてすごく嬉しいよ。

「今日何時まで?家まで送るよ」

「6時までですけど、桃田さん忙しいのに大丈夫ですか?」

桃田さんと少しでも一緒に過ごせるのは嬉しいけど、忙しい桃田さんの邪魔はしたくない。

「大丈夫だよ。俺が華ちゃんといたいだけだから」