「華、朝からニヤけすぎじゃない?何か良いことが合ったの?」

あれからずっと頭から桃田さんのことが離れなくて、自然と顔がニヤけてしまっている。

そんな私にセリナはすぐに気付き、桃田さんの彼女になった事を報告した。

「えー、うそ!凄いじゃん!社長と付き合うなんて少女漫画みたい」

「私も夢みたいだと思う」

今朝、目を覚ました時も夢を見ていたんじゃないかって思った。
だけど、私のスマホには桃田さんの連絡先がしっかり登録してあって、昨日の帰り際に連絡先を交換した事実が夢じゃないと思わせてくれた。

「夢じゃないなら、遊ばれてるんじゃないよね?」

「え?」

「だって、女優と付き合うくらい有名な社長なのに、どうして普通の女子高生なんかと付き合うの?」

確かに。セリナの言う通りだよね。

桃田さんに好きになってもらえる要素なんかどこにもない。

それに、可愛いとは言われたけど、好きだとは言われなかった。

大人の人って、そう言うものなの?
それともセリナが言う通り、私は遊ばれてるのかな?

「あ、ごめんね。私ったらまたズケズケと言っちゃって」

「ううん。セリナは私を心配してくれてるのはわかってるから」

セリナは私と違って、思ったことをはっきり口に出せる人で、周りからはキツいと思われているけど、本当はすごく優しくて面倒見もいいんだ。

「華だけだよ。私がキツいこと言っても許してくれるの」

「許すも何もはっきり言ってくれて感謝だよ」

「私の方こそ感謝だよ。華のそう言うところを桃田さんも好きになったんだよ!だから私の言ったことは忘れて」

本当にそうなのかな。
昨日は浮かれていたけど、急に不安になってきた。

「セリナ、私、桃田さんに好きだって言われてない。彼女になってとは言われたけど、大人の人ってそうなの?」

「よし!じゃ私が直接会って確かめる!昼休みに桃田さんに電話して次いつ会えるか聞いて」
 
セリナは冗談で言っているようには見えなくて、本当に桃田さんに会って確かめてくれるらしい。