☆虎兄side☆


 え?

 思ってもいない出来事に
 俺は目を見開いたまま
 その場に固まってしまった。


 清香の柔らかい唇が
 ゆっくり離れていき
 恥ずかしそうにうつむく清香が
 目に入ったとたん

 『清香が俺にキスしてくれたんだ』と
 脳が認識した。


 その時。


「ごめんなさい……
 その……

 虎ちゃんが優しく
 微笑んでくれたこが……
 嬉しくて……」


 恥ずかしそうに
 必死に言葉を紡いでくれる清香が
 愛おしくてたまらない。


 恥ずかしくて
 ずっと言い出せなかった思いを
 今、清香に伝えなきゃ。

 そう思わせてくれる
 かわいさだった。