「親父、俺だ」


「入れ」


繋いだまま離してくれそうもない手は諦めて

二人で入った部屋には


「・・・っ」


「なんだ勢揃いして」


テーブルを挟んだ向こう側に
五人が並んでいた


「座れ」


ここだと言わんばかりに二つ敷かれた座布団に永遠はドカリと腰を下ろした

それに釣られて隣に座りそうになるのを堪え
繋いだ手を無理矢理外すと
座布団を外した畳の上で頭を下げた


「白夜会三ノ組傘下
森谷組森谷孝蔵が娘、千色と申します
GWにもお邪魔しておりましたのに
ご挨拶が遅れて申し訳ございません」

勢いに任せて一気に吐き出すと


「堅苦しい挨拶は無しにして
千色ちゃん、永遠の横に座って」


優しい声が掛かった


恐る恐る顔をあげると
組長の隣で永遠によく似た美人が
「ほら座って」座布団を勧めてくれた

私が永遠の隣に収まるのを見届けると


「こちら紹介するわね」


そう言いながら手で指し示し紹介を始めた

「永遠の父の木村永劫、私は母親の笙子、長女の未来に次女の遥華
後ろで控えるのは主人の側近の後藤
これが近しい家族ね、他は追々覚えていけば良いわ」


指された人が頭を下げてくれるから
同じように何度も頭を下げる


「はい、よろしくお願いします」


頭の中で名前を反復していると


「それにしても綺麗ね千色ちゃん
永遠が骨抜きになるのも仕方ないかしら?ねぇ貴方」


お世辞を言ってくれた

それを否定するように頭を左右に振ると

隣で永遠がクスッと笑った


「それで・・・千色ちゃんは
うちの永遠でいいの?通達出したから
嫌だって言っても変えられないのよ?」


心配そうな顔をしながら
今回のことを話す姐さん


「こちらのことでお手を煩わせて
申し訳ありませんでした。

生まれながらの許婚を解いて下さり感謝の気持ちしかありません。

私は永遠さんのことが好きです。今日の顔合わせで迎えに来てくれた永遠さんが王子様に見えた程です

身分違いも承知です。歳上なのは変えようもありませんし正直今でも永遠さんに釣り合うのかさえ分かりません。

それでも・・・
こんな私のことを追いかけてきてくれた永遠さんの想いに応えたいと心からそう思います」


しっかり前を向いて言い切ると
丁寧に頭を下げた