目を覚ますと


「っ」


永遠の腕の中に居た


「大丈夫か」


「うん」


「大吾、ジジィ呼べ」


「承知」


イキナリの状況に周りを見回すと
病院っぽい内装が見えた


「千色、倒れてな・・・
あのまま橘病院に運んだ」


「・・・そっか」


そういえば胸が苦しくて
意識が途切れた気がする


「気が付いたか、なんだ
イチャイチャしやがって」


聞き覚えのある声に顔を向けると
橘院長が立っていた


「あ、お世話になります」


「あ〜、いつもは電話だけだがな」


「えっと、永遠?おろして?」


「このまま診てもらえ」


「・・・は?」


「俺の前でイチャつくなんざ
10年早えーよ、馬鹿ップル
診察なんかせずともただの過呼吸
次からは足を高く上げて自分が吐き出した息を吸ってれば治るからな」


簡単な説明をすると


「早く帰れ」


追い払うように手を振られた


「ジジィ邪魔したな」


「何がジジィじゃ」


「フッ、ありがとな」


フワリと抱き上げられた身体は
支えがないと不安定で


「しっかり捕まってろ」


「・・・うん」


抱きつくように首に手を回した

日曜日で薄暗い病院を裏口からでると

大吾が運転する車が
夜間救急入り口に止められていた


永遠の腕に抱かれたまま
車に乗り込むと


「驚いただろ」


フッと笑った永遠は


「本家へ」


大吾へ声を掛けた


「承知」