夜中…ドタドタと誰かの足音がした。よく聞いてみると玄関に向かう足音。気になって玄関に行くと景都がリュックを背負って靴を履いていた。
「景都?」声をかけると肩を震わせ俺を見る。景都は泣いていた。
「兄さん。俺、家出する。」と言って立ち上がった。
「待て!」玄関から出る瞬間俺は景都の肩に憑いた。
景都は数分歩くと、俺に気付いたのか「夕紀兄!なんで!」と言った。
「お前、気付くの遅いよ。」家に戻れと喚く景都に俺が、「景都と一緒じゃないと帰れないよ。」と言うと景都は黙った。
「んで、なんで家出した?」と訊くと、
「公園で話す。」と言って近くの公園に入る。入り口近くのベンチに座った。