ブゥがラグから勝手に離れて行くなんて私の知る限り初めてのことだ。

(さっきもラグの言うこときかなかったし……)

「ブゥ、もしかして」
「ああ。あの鳥について行ったんだろ」
「そうだよね。でも、いざとなったらセリーンを助けてくれるよね!」
「わかんねぇ」

 と、丁度そのときラグの身体が急成長した。
 やった! と歓声を上げると同時、ブチブチっという音がしてラグが手首のロープを引きちぎってびっくりする。

「少しずつ風で切ってたんだ」

 そんな私の顔を見てラグが教えてくれて納得する。

(そっか、ただ風を起こしていただけじゃなかったんだ)

 ラグはその後すぐに私の背後にまわり私のロープに手を掛けた。