……ちゃん……いちゃん……起きて……

「おにいちゃん、起きてってば」

「もう少しだけ寝かせて、ちょっ舐めんなって!!」

 舐める? 目を見開らくと、俺の顔を舐めている犬がいた。何だ犬か、もふもふして気持ちいい。このままもふもふしてもっと寝ていたい。

 そう思いながら顔を(うず)めて、もふもふを堪能していた。

 ……はっ! 突然我に返った。ちがうちがう、そうじゃい、何故犬がいる? ここはどこだ? 夏希は?まさか夏希が犬に?んな訳ないよね。

 回りを見ると真っ白な、それでいて汚れの1つもない……部屋。俺が寝ていたいベッドもふかふかで気持ちがいい。ふかふかともふもふ。そして部屋の真ん中に女性が居る。しかもかなり美人です。

 何か紅茶? らしき物を、小指を立てながら飲んでいますね。今どき小指を立てる人なんているんですかね? しばらくその女性を眺めていると目があった。

「お目覚めかしら?」

 犬は女性の元へ走っていく。

 ゆっくりと、飲んでいたティーカップをテーブルに置いて、俺を手招きした。
 彼女の正面に座った。近くでその女性を見ると、圧倒的な輝きを放っていた。なんて美しい……。

 その輝きは、この世の者とも思えないほどの美しさ。それでいてスタイル抜群。
 まるで女神みたいだ! 女神……うん、そんな表現がぴったり似合う。女神なんて見た事ないんですが。

「ここは何処であなたは誰ですか? なんでここに俺が居る?」

「お答えしましょう。私は女神、ここは天界で私の部屋。そしてこの犬は神犬、太郎」

 めが……
 ……………
 ……………

「「ん?」」

「いやいや、ちょっと意味が分からないんだけど!何その設定! あっそういうプレ……店? 酔って変な所来ちゃったのかな? ……まったく覚えてないんだけど……神犬って何よ?」

 なんかおかしなこと言ってる。
 まぁそういうのも悪くは無いんですけど。

 あれっ。さっきまでの輝きが嘘みたいに消えてる……綺麗は綺麗だけど。

「はぁ? ばか? ばかなの? そんな趣味はないわよ!! 何考えてんの? 変態なの? 低脳なの? 私は女神よ!! 女神がそんな事するわけないでしょ!! こられだから人間は!!この愚民がっ!!」

 体をわなわなと震わせ、顔を真っ赤にし、凄い剣幕で、ののしってきた。そこまで言わなくても……。