重苦しい沈黙。




俺の家に柚子を連れてきて、父さん母さん璃苑のいる中


子供が出来たことを伝えると、5分程の重苦しい沈黙に包まれた。




その間、父さんはエコーの写真を見ていて
璃苑と母さんは値踏みするように柚子を見ている。





そんな重苦しい沈黙を破ったのは
エコー写真を見ていた父さんだった。






「ひとまず、妊娠おめでとう
そして、うちの息子がごめんなさい」






父さんはそう言って頭を下げる。


その光景が俺の心に強く刺さった。


自分の不注意で父さんを謝らせてしまった。




ここに来る間や、沈黙の間に色々考えて
柚子が産みたいと言ったことや、現に付き合っていること

堕ろすことの重さを考えると、甘い考えかもしれないけど俺も産ませてあげたい気持ちで固まった。




その為なら、夢だったすごく悔しくはあるが医者をあきらめる覚悟もあるし

どれだけきつくても音をあげないと言う決意もある。





そんな俺の気持ちを知ってか知らずか
父さんは、俺と柚子を交互に見て口を開いた。






「2人は、どうしたいのかな?」






父さんの問いかけに、柚子は"もちろん"と前置きをして頷く。






「もちろん、産みます」



「紫苑は?」



「俺も、軽い気持ちで言ってるわけじゃないけど、産んで欲しい」






折角俺と柚子の間に生まれてきてくれる子だし、2人で育てたい気持ちはある。



俺と柚子の言葉を聞いて、母さんの眉がピクリと動いたが父さんは言葉を続ける。






「じゃあ紫苑はこれからどうするの?
医者になるのは諦める?」