私の人見知りと話下手は、昔は今よりもずっとひどかった。

 小学生の頃は人前で話すのが本当に苦手だったから、皆の前に出てなにかの発表をするときなんて拷問で、泣いてしまうときも多々あった。

 中学生になると多少マシにはなったものの、うまく話せないせいであまり友達もできず、クラスにも馴染めなくて、ただひたすら勉強するだけの日々。

 私がここにいる意味はあるんだろうか……そんなふうに毎日考えていた二年の春、人生に大きな影響を与えた重南(しげなみ)先輩と関わりを持つようになる。

 ひとつ上の重南先輩は校内一の不良として有名で、私でも彼の存在は知っていた。先生に反抗したり、他校の生徒と問題を起こしたりと派手な素行だったから。綺麗な顔立ちではあっても目つきが悪く、とにかく怖い印象だった。

 一学期が始まってすぐの頃、喧嘩をやり合ったあとの彼と校舎の裏でたまたま出くわしたときは、殺されるかと思ったくらい。

 でも口の端に血が滲んでいるのを見たら、ここで黙って立ち去るのは良心がとがめるし、『なに逃げてんだ』と余計危ない目に遭いそうな気がして……。