洋服は、芽実のを貸してもらって
一緒に、寮に帰ってきたあたし。

「ちょ、あれって」

あたしより目のいい芽実は
門の所に立っている人物に気づいたようだ

「あれって、篠田先輩じゃん」

え?
どうして?勝手にするんじゃなかったの・・・?

「おい。この間言ったばかりのことを
守れないとはどういう事だ」

冷たい目と、話し方。
怖くなって、芽実の後ろに隠れてしまった

「隠れてんじゃねぇ」

「先輩が、そういう態度をとるからでしょう?」

「何?」

「愛実が、男が嫌いなのをわかっていて
”俺も勝手にする。だから愛実も勝手にしていい”って言うのは
愛実は必要ないんでしょう?
先輩のせいで、少しは悪化してるって自覚はあるんですか?」

「は、知った事か。
悪化してるからなんだ。俺たちは、もう
”婚約者”同士ではないんだ。こいつに優しくする必要もない」

「そう。なら、これから
愛実がすることに、反応しないでくださいね」

行こって言って寮の中に入れば
荒れている部屋の中

「これって」
どういう、事・・・?

「愛実。早く、荷物整理して、部屋に戻ろ?」

「うん」

必要なものだけをキャリーバックに入れていると
あたしたちが片付けているのを
冷たい目で見ている翔哉さん

「本来なら、篠田先輩が出ていくべきですよね」

そう、冷たく言い切ったのは芽実だ。
芽実のいう事は正しい。
この寮は、プリンセスが使うべき部屋なのだ