【side春季】



《――私たち、別れよう》

「……え?」



 サラの言葉は、俺をどん底まで突き落とした。

 別れる……?

 サラと、俺が……?



「どうして……?」



 そんなの……ありえない……。

 サラがいない、生活なんて……

 ――そんなの、生きてる理由がない……。



「急に、そんなこと……俺、何かした?」

《……》



 サラは、何も答えてくれない。

 焦りは増していく一方で、俺はすがりつくように電話ごしに頼んだ。




「サラ、待って、話し合おう……! 何かあったの?」



 原因がわからない限り、どう引き止めていいのかわからない。

 心当たりならありすぎる。でも、それをサラが知っている可能性は限りなくゼロに等しい。