【side 蓮】




生徒会が終わって、寮に戻る。

今日の由姫、いつもと様子が違ったな……。

昨日の告白のせいかと思うと、少し悪いことをした気分になる。

けど……意識されているのだと思うと、良い傾向だと口元が緩んだ。

今までは、「過保護な先輩」くらいにしか思われていなかったはずだ。

これからは……ちゃんと男として、意識してもらいたい。

いや、俺が意識させねーと。

由姫の鈍感さは筋金入りだから、はっきりと言葉にしないと伝わらないだろう。
にしても……。

さっき、舜に言われた言葉を思い出した。



『お前宛に伝言だ』

『……あ?』

『「由姫に手出すな」……だと』

『……誰からだ?』

『由姫と同じクラスの生徒だ。氷高拓真。聞いたことくらいあるだろ?それと、fatalの双子も』

『知らねーよ』

『まあ、ライバルは多いってことだな。うかうかしていると取られるぞ』



ふっと、まるで楽しんでいるかのように微笑む舜の顔が脳裏をよぎって舌打ちをした。