陶器のように白い肌、美しいアーモンドアイに、綺麗な鼻筋、形の整った唇。

柔らかな色素の薄い髪がハラリと風に靡かれて、誰もが彼に魅了される。

私たちの学園が誇る、絶対的な王子様。 

彼の名前は未風玲夜(みかぜれいや)

私とは、住む世界の違う人。 

…そう、信じて疑わなかった。


だから、ただ驚くしかなかった。

「相沢さん、僕と付き合ってください」

彼に呼び出されて、その美しい唇からそんな言葉が出てきたこと。

緊張したように私を見つめる彼に、呆然とすることしか出来なかった。

いや、え?だって、この人は学園の王子様、みんなのアイドル的存在。

悲しいことに私は一般庶民、ごくごく普通で平凡な人間。

…絶対に、彼は何かを間違えてるんだ。それとも、罰ゲームとかかもしれない。

私の分際で彼を断るなんて、と非難されるかもしれないけれど、さすがに彼ほどの人が私と付き合うなんて大間違いなんだ。

「え、っと、私ほどしがない人間は未風くんほどの人ともちろんつり合わないので…」

そう、やんわりと断り始めると、彼は少し焦ったように、

「相沢さんは、僕のこと嫌いですか?」

そう、不安そうに瞬きをしながら聞いてくるから、いやいや、まさかそんなわけはないと手を顔の前で左右に振って

「いやいや!滅相もございません!私が未風くんにつり合わないから」

そうやって分かってもらおうと話している途中、


彼は妖しげに口元を緩めて、言った。


「なら、良かった。お試しで良いから付き合ってください。」

もう、それは決定事項に近かった。

これまで感じ取ってきた雰囲気とは違う、有無を言わせぬ絶対的なオーラ。



……そのときから、全ては始まった。


ゆっくりと彼の愛に囲われて、
じっくりと……、毒されていくんだ。