☆桃華side☆

 あれ、ここって……
 私の部屋のベッドの上だ……


 ゆっくりと瞼を開け、横を見ると
 ビー玉のような真ん丸な瞳が
 私の目に飛び込んできた。


「桃華さん……
 良かった……目を覚ましてくれて……」


 トイプーはベッドサイドで
 大粒の涙をぽろぽろ流して、
 立ち尽くしいる。


 私を心配してくれているのがわかる
 苦しそうな瞳を見た瞬間、
 今朝の出来事が断片的に思い出された。


 そっかぁ。

 私、トイプーが殴られそうになったから
 飛び出して行って
 十環先輩に頬を殴られたんだった。


 まだぼんやりとしか
 思い出せない記憶。

 
 立ち尽くしたままのトイプーは

「僕をかばったばっかりに……
 桃華さんが殴られて……」と

 泣きながら「ごめんなさい」を
 繰り返している。


 私はトイプーを落ち着かせたくて
 寝ころんだまま
 トイプーの腕をさすった。