――ブーブー。


次の日の朝。
私はスマホのバイブ音で目を覚ます。


誰? こんな朝っぱらから……。


ぼやける視界の中、応答ボタンを押してスマホを耳に当てる。


「もしもし……」


『おはよう、外で待ってるよ』


「……え? 誰?」


聞き覚えのあるその声に一気に目が覚めた。


この声はまさか……だって、私が連絡先を交換している男の子なんてたった1人しかいない。


『寝ぼけてるの?』


「……っく、黒澤くん!?」


ベッドから飛び出ると、カーテンを開けて外を覗く。
するとそこにはこちらを見上げる黒澤くんがいた。


「な、なんでいるの……?」


『8時まで待ちきれなくて、迎えにきた』


ニコニコと爽やかな笑顔を浮かべる黒澤くんに、私は冷や汗が出てくる。


『じゃ、待ってるからね』


「す、すみません!」


慌てて電話を切って制服に着替えると1階へ下りる。


あぁ、もう少し寝たかったよ~っ。
黒澤くんのバカ!


心の中で黒澤くんに文句を言いながら食パンをくわえる。