俺の可愛い桜。腰くらいまでの綺麗な黒髪にパッチリした目、そして桜貝のような唇。容姿端麗でおまけに成績優秀の彼女は、クラスメートから憧れの存在としてクラスの中心にいる。

「桜ちゃん、一緒に帰ろう!」

「新しいグロス買いに行かない?」

「桜さん、今度デートしてください!」

「これ、桜さんがほしがってたイヤリングじゃない?」

桜はみんなから愛されてる。俺はただの幼なじみとしか接することができない。でも、鬱陶しいな。桜を大切にするのは、俺だけでいいのに……。

最近、どんどん自分が桜に溺れているのがわかる。世界が桜と俺だけになったらって思うほど。桜のこと以外、どうだっていい。桜……桜……桜……。

どうしたら俺の方を見てくれる?桜と二人きりの世界を作れる?ああ、そうだ。そうすればいいんだ。

それから数ヶ月後、あれだけ桜の周りに群がっていた人たちはみんな桜から離れて桜の悪口を言っている。かわいそうな桜。今にも泣き出しそうな顔をして……。

「大丈夫だよ。俺は桜の味方だから」

そう俺が言うと、桜は「ありがとう」って素敵な笑顔を見せてくれるんだ。

俺ニ、モット溺レテ。