今日、僕は好きな人を手に入れる。そう思うと胸が高鳴って、これから始まる生活にわくわくした。

彼女を知ったのは、今から半年ほど前。道を歩いている時にすれ違ったんだ。その時見た笑顔に心を奪われて、僕は彼女のことを全て調べた。

名前は井口雪。住所は××市××町××。両親と弟と妹とペットの犬二匹と暮らしている。西岡高校に通う高校三年生で、将来の夢はバリスタ。バイト先は高校近くのカフェ。親友の名前は××ちゃん。朝は五時半に起きて夜は十時に寝る。趣味は読書と料理。スリーサイズはーーー。

このように、彼女のことを今日まで徹底的に調べてきた。彼女の好みは把握しているから、家も彼女の趣味に合わせた。

コツコツと足音が近づいてくる。ここは彼女の自宅付近。今日は彼女は部活で遅くなっている。僕の手の中に閉じ込めるにはちょうどいい日だ。

彼女の背後に近づき、薬品を染み込ませたハンカチで口と鼻を覆う。最初は抵抗していたけど、彼女は薬品を嗅いで意識を失ってくれた。

近くに停めてあった車に彼女を乗せ、家まで猛スピードで飛ばす。ずっと恋焦がれていた彼女が隣にいる。それだけで、嬉しくてたまらない。

「モウズット離サナイカラ」