『実は、結婚しているんだ』



スーツを着た長身の男。トレンチコートを羽織りながら背中を向けてそう告げる声。



『え・・・?』


つい数分前までは二人で一緒に寝ていたベッドに残されたまま、まだ服を着ていない女はベッドのシーツにくるまりながら男の言葉に全身の血の気が引くのを感じた。


ベッドから出たばかりの男のぬくもりがまだ残るベッド。

ひとり残された女は体を丸めて、これが夢であるようにと願った・・・