ケータイ小説 野いちご

隣のキミをもっと溺愛、したい。

第一章
いつも通りの一ノ瀬くん。

【羽衣side】


ホームルームが始まる直前に
教室に駆け込んだ。

教室に入った途端、
友達みんなに囲まれた。


「羽衣、どういうこと!」


「ど、どういうことって?」


「ちゃんと説明してっ!」


「羽衣、とりあえず、ここ! 
ここに座って!」


「は、はいっ!」


輪の中心に座り、

好奇の色に
目を輝かせている
みんなの顔をぐるりと見まわす。


「朝の体育館裏で、

一ノ瀬くんと羽衣が抱き合ってたって、
噂になってるよっ!」


「本当なの?」


……え?


「抱き、合う?」


動きを止めて、
じっとみんなを見つめる。


「もう! 羽衣! しっかりして!
抱き合うって、意味わかってる?」


「いや、え?……抱き?」


「だから!

抱き合うっていうのは、

こうやって、恋人同士が向き合って、
手をお互い背中に回して、

ぎゅうっと抱きしめあうこと!」


目の前で
朝歌と叶奈ちゃんが見つめあって、

背中に手をまわして、
恋人同士のように抱きしめ合っている。


「一ノ瀬くんと、
こういうことしてたの?」


「し、しないよっ! 
そんなこと、するはずないよっ!」


ぶんぶんと全力で頭を横にふる。


「でも、羽衣と一ノ瀬くんが
体育館の裏で抱き合ってたって、
ものすごい噂になってるんだよ!

見てた子がいるって!」


え?


「わ、私と一ノ瀬くんが?
そうやって、抱き合ってた、の?」


唖然として、
みんなにたずねると。


一瞬静まり返り、

途端にゲラゲラと
湧き上がる笑い声。


「ほら、やっぱりっ!」


「そうだよね! ありえないって!」


「でも、どうしてそんな噂が?」


「うーん……
つまずいて転んだ羽衣を、
たまたま通りかかった一ノ瀬くんが
支えてくれた、とか?」


「それとも、まったくの別人とか!」


いや、え、……別人?

< 48/ 276 >