ケータイ小説 野いちご

弱くて強い、お姫様。

可愛すぎるお姫様


紫苑side


多分、半年くらい見てたんじゃないかな。


偶然だった。


バイクが故障して、修理を頼んでいる間学校には電車で通うことになった。


ぎゅうぎゅうで狭いし、遅いし、正直電車は苦手だ。


電車通学初日、死ぬ気でゲットした座席に座ってスマホを見ていた。


ドアに近い端っこの座席。


俺の二つ次の駅で、女の子が乗り込んできた。


目が奪われる。


綺麗な茶髪がポニーテールにされており、大きな目とスッと通った鼻筋、それから綺麗な形をした唇。


制服はセーラー服でスカートの裾からチラチラと見える肌は陶器のように白い。


この電車に乗っている全ての人がその子を見ていた。


無理はない。非の打ち所がない見た目。


目も心も奪われる。


ぼーっとその子を見つめていると、違う車両から同じ制服の子がその子に話しかけた。


「つばき」


そう呼ばれたその子は、


「澄澪」


と返事をしてふわりと笑った。


つばきちゃんか。ピッタリの名前だ。柄にもなくそんなことを思って、照れくさくなって目を逸らした。


「なんでここにいるのよ」


友達らしき子がそう言うと、つばきちゃんは「あはは」と声を出して笑った。

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