ケータイ小説 野いちご

弱くて強い、お姫様。

暗すぎる空気


紫苑side


『北宮つばき。裏の世界最強といわれる"北宮守"の一人娘です』


そう言ったつばきは笑った。


苗字が一緒だし、気付こうと思えば気付くことが出来たと思う。


北宮守───守さんには俺もお世話になっていて、今思えば顔立ちも似ていると思った。


それに、いつだったか「紫苑と同い年の娘がいるんだ」と話していた。


いつだってつばきは笑っていて、"最強"と呼ばれている男の娘だとは到底思えない。


でもあの強さ。そして瀧野までも静めてしまう人柄。


認めざるを得なかった。


何かを隠している気はした。No.1暴走族の姫でありながら、今まで拐われそうになることもあまりなかった。


つばきが姫になったという情報が流れるのに、きっと一週間も経っていない。


だとしたら、もっと早くこういうことになっていてもおかしくない。


それなのに、今の時期にこうなったということはつばきが自分で防いでいたから?


それしか考えられない。


瀧野は常につばきの元に族の一員を送り込んでたみたいだ。その度に何者かにやられていた。


俺が倒した記憶はないから、多分つばきなんだろう。

< 156/ 179 >