それから1週間後──────。

毎日いろんなレッスン続きのハードスケジュールな日々を過ごしていた私は久しぶりに1日オフの日を迎えた。
朝はゆっくり起きれるし、時間を気にせず自由にできるなんて森で過ごしていた日以来なのではないかと思う。

そこで私はこの貴重な1日をどう過ごすかはすぐ頭にぱっとひらめいた。



「うーん!空気がおいしい!」


「そうですね。皇女様のお気に召したようで良かったです」



ラナと共にやって来たのは、皇宮の中に唯一ある緑地だ。
毎日庭師が手入れをしているおかげでとてもきれいに整地されている。
私が暮らしていた森に比べたらやっぱり人工的だから緑は足りないけれど、皇宮の中に閉じこもっていたせいか清々しく感じた。


「ここに来ると何だか懐かしくなるわね。ラナもそう思わない?」


「はい…つい昨日のことのように思い出します…。皇女様がこちらに来たいと仰っていただいたおかげで私も日々の疲れがとれるような気がします」


そう言ってラナも1つ深呼吸して懐かしそうに景色を見つめていた。

ラナも私の身の回りの世話以外に皇宮の侍女副長としてやることも多いのだろう。
私が勉強やレッスンをしている影でラナも忙しくしているんだなと思うと、皇宮に来てから毎日一緒に頑張ってる同士のような気がしてならない。



「ねえ、今日だけ"皇女様"って呼ばないのはどう?」


せっかくのオフなんだしと思って私は冗談っぽく言ってみた。


するとラナは改めて背筋をぴんと伸ばし、いかにも侍女副長らしい厳しい顔つきに戻る。


「それはいくら皇女様の命令であっても断じてなりません。何があろうともあの日からシャルロット様は正式な皇女様なのですから」


きっぱりと断られてしまって私は何も言い返すことが出来ず、ラナも厳しくなったな…とただ苦笑いするしかなかった。