ケータイ小説 野いちご

ビターでいい

小さい頃から、甘いものが苦手だった。クッキーもケーキもマカロンも食べられない。ゼリーはまだ食べられる。でも、それ以外は体が受け付けない。

甘いものが苦手なのは、高校生になってからも変わらなかった。バレンタインになるとチョコレートがあちこちで飛び交うから、地獄でしかない。あと、女子は甘いスイーツの話で盛り上がっていて、本当に何がおいしいんだと言いたい。

「なあ、それっておいしいもんなの?」

俺は隣を歩く女子ーーー華(はな)に訊ねる。華はアイスクリームを食べていた。

華と俺は付き合っていて、今日は互いの部活も休みだったので一緒に帰っていた。その時、華にサーティーワンに連れて行かれたのだ。

涼しい店内には、夏の暑さから逃れようと学校帰りの学生が大勢いて数々のフレーバーの中からお気に入りのものを選んで食べていた。

俺はアイスも食べられない。だから、華がアイスクリームを買うのをずっと見ていた。

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