私、知らなかった。




先輩に夢があることも。部活の大会があることも。




全部、自分勝手にやってたんだ。




でも、私は前の先輩に戻ってほしい。




バスケを楽しそうにやっている先輩に。





「あ、美沙。ここにいたんだ。」




「先輩・・・・・・。」




「さぁ、今日はどこに行く?ケーキ屋?それとも遊園地に・・・・・・」





「先輩!私達、お別れしませんか?」





「え?な、何で?」





「私、さっき聞いちゃったんです。もめてる所。でも、私は前の先輩に戻・・・・・・。」





『戻ってほしい』




そう言いかけた瞬間突然、先輩にグーで殴られた。





「ガハッ! 」





「何で、そんな事言うんだよ。」





「え・・・・・・。先輩?」




先輩の顔は、まるで鬼みたいで冷たい目で見下ろしてきた。




(ひっ・・・・・・!!)





「何で、俺の言う通りにしないんだよ!そもそもお前がやったのがいけないんだぞ!」




何度も何度も顔を殴られ、ズキズキした痛みや血が出ていた。





「何で?先輩・・・・・・。」





「これは、愛だ。だって、俺達は両思いなんだもんな。」




「は、はい・・・・・・。」





私は怯えながらそう答えた。