先生の言っていることが本当なら、一穂の言う通りあたしは本当に見間違いをしてしまったのだろう。


そうだとわかると、途端におかしくなってきた。


昨日はあれほど怯えて、大きな悲鳴まで上げて学校から逃げ出してしまったのだ。


それを思い出すと恥ずかしくて、誰にも見られていなくて良かったと心底思えた。


それなのに、幸生はまだ怪談説を諦めていたわけではなかったようだ。


「なぁ、美知佳には仲の良い先輩がいるんだったよな?」


次の休憩時間に入るや否や、幸生が駆け寄って来てそう聞いて来た。


あたしは使い終わった教科書を机にしまいながら「いるけど、どうかしたの?」と、訊ねた。


「先輩ならなにか知ってるんじゃないか?」


「知ってるって、なにを?」