今日は何だか朝から騒がしいかった。

いつもなら、私の事など世話もしないのに、今日はやたらと侍女が綺麗に身支度をすませてくれる。

「ねえ。今日は何かあるの?」

そう聞いても誰も答えない。

着たこともない綺麗な、パーティ用の黒と紫にキラキラとビーズがちりばめられた大きく肩と胸元が空いたドレスに着替えさせられて、私は部屋のソファに座っていた。
私は生まれてから1度もこの屋敷から外に出たことはなかった。

クルナール国の男爵令嬢ではあったが、母は娼婦だったため、父は私の存在を公にしなかった。

父がたまたま夜遊びに出かけたまたま相手したのが母だった。

だから私はこの家てはいるのにいない扱いをされて生きてきた。

まるで透明人間かのように。