あの後、お母様の気がすむまでムチを打たれ、そのまま休ませて貰えるわけも無く、各部屋の掃除洗濯お昼の準備…背中が服に擦れて痛いけど…休めない、休めるわけなどないわ。


「おい!屑、調味料が無くなったんだよ!商店迄走って買ってこい!さあ!!急ぐんだよ」


拭き掃除をしてたら、シェフの1人から命令された。私は起き上がり。


「何を買ってきますか?」

「これに書いてる。こっちには代金だ。さぁ!いけ」


シェフは何か、汚らしい物に近づく様に私に近づくと、紙と袋を投げ渡し調理場に帰って行った。

私は外出する為の準備をしないといけない…
黒色が禁忌なこの国だから、この髪のまま出てしまうと石を投げられたり、転がされたりは未だ良い方で、数人で殴られたり蹴られたりもある。

大怪我で帰っても誰も心配など無く、反対に服を汚したり破れたりしてる時は、もっと殴られる。

瞳も同じで…見られると左右違う色など居ないこの国は、化け物だの悪魔だの言われるのだ…

髪を隠す為の布を被り、瞳を隠す為に俯いて歩く私は、異質なのだろう。
皆見ぬふりや嫌な顔、蔑む言葉等も言われたりする。

本当に、私は何故この国に産まれて来たのだろう?
自問自答しても答えなど出ようはずも無いのに考えてしまう。

歩いていると、目の前に男の人が三人立ち塞がる…怖い。


「お前なんだ?その格好は?暑く無いのかよ?頭の取ってみろよ!隠されると気になるよな!そうだろ?」

「「気になる!気になる!」」

「なあ、すっげーぶっさいくじゃ無いのか?それは女として致命的だろ?かっわいそうにー」

「俺らが査定してやろうぜ」

「あはははははは!いいな!楽しそうだな!」

私は反対に走って逃げる。背後から追いかけてくる…何故?わざわざ追いかけてくるのか?
私なんて構わなければ良いのに?
あんな街中で黒髪なんて見られたらと考えると、恐ろしくて恐ろしくて…私は脇目も振らず必死で走った!


「こんな国大っ嫌いだ!!私なんて消えて無くなれ!!!!!」

私は初めて大きな声で叫んだ!思いを込めて叫んだ!!!

すると辺りが霞みはじめた?何も見えない?
何これ?走ってたのに足が勝手に止まっていく?
足が動かなくなり…意識も保てない……倒れる…崩れ落ちる様に倒れたのに痛くないわ……………………