「ただいま。届けてきたよ」
いろりに戻るとピークの時間は過ぎていてお客さんはそれほど多くなかった。
私も顔なじみの常連さん達で賑わっていた。
憩いの場的な感じになっているこの光景が私は大好きだ。
お母さんとお父さんの温かさによって作られた空間。
いるだけで胸が温かくなる。
「あら詩織ちゃん。今日もお疲れ様」
「倉吉さんもお疲れ様です。ゆっくりしていってくださいね」
近所の人達はみんな気さくでいい人達。
いつも私のことを気にかけてくれるんだ。
「詩織、お帰りなさい。わざわざごめんね。大丈夫だった?」
「ちゃんと届けてきたよ。スタッフさんに渡しておいたから大丈夫だと思う」