予告編

用務員
摘草 遼  つみくさ りょう

「おいおい。君、そこで何をしてんの?」

「あ。私は学校見学に来たんですけど」

「ここに?」

可愛らしい女子生徒は、一人で校庭の隅にある温室のお花を嬉しそうにじっと見ていた。


「綺麗です……これは先生が育てているんですか?」

「おいおい。俺は用務員のお兄さんだよ?ええとこれはな、生徒と理科の先生だよ」

「カトレアに蘭がこんなに咲いて。ここに入学したら私もできるのかな?」

「さあな?部活とかじゃないの?お兄さんは詳しくないんだよ」


そんな用務員の摘草に少女は不思議そうに首を傾げた。

「どうしてですか?」

「実はな。お兄さんは臨時の職員なんだ」


「……でもここって。おじさんとかがする仕事のイメージですけど」