安達悟と山上純一は西条学園中学から逃げ出すために全力で走っていた。



悟と純一は共に陸上部に所属するスポーツマンで体力には自信がある。



紗栄子が追ってくる前に西条学園中学から逃げられるなら、リベンジゲームはそれで終わる。



いじめられっ子だった小原紗栄子はバケモノのような強さを身につけ、またこの西条学園中学に戻ってきた。



悟は走りながらあのケンカ自慢の誠二が紗栄子に槍で喉を貫かれた瞬間を思い出して、体が恐怖に包まれていた。



(あの虎治のグループにいた誠二があんなにも簡単に殺されたんだ。

オレが紗栄子と戦っても勝ち目はない。

いじめに加担してないオレが殺されてたまるかよ!)



悟と純一は校舎の階段を飛び跳ねるようにして下りていくと、西条学園の北門を目指して全力で走り続けた。



『小原紗栄子が3年2組の教室を出ました。

今からリベンジゲームを始めます』



学校中にAIアナウンサーの校内放送が流れ、紗栄子と3年2組の生徒たちのデスゲームが始まったことを告げていた。



あの怪力に生まれ変わった紗栄子の脚力が常人離れしていることは、悟にも想像できた。



悟と純一は北門に向かうために校庭へと飛び出すと、いつもと違う校庭の様子に思わず立ち止まり、戸惑いながら辺りを見回していた。