西条学園中学の3年2組の生徒たちが教室で待機を命じられている午後6時が近づいていた。



教室内には長時間の待機に苛立つ者、紗栄子へのいじめ問題から目をそらしたい者、一刻も早くこの教室から解放されたい者など、たくさんのパターンの生徒たちが入り交じっていた。



(午後6時になったら、あの奇跡の科学者、生神亮治は私たちと何を話すつもりだろう?

それに紗栄子の遺書の内容も気になる。

紗栄子は生神亮治に何を伝えたんだろう?)



智恵は教室の隅の席で、午後6時からあるはずの生神亮治のオンラインでの話しについて想像していた。



世界的に有名な生神が、普通の中学生の自分たちに何かを話すのは異例のはずだ。



そんなことを思うと、智恵の心に不安が広がった。



そして智恵が不安の中で教室の時計を見つめている中、ついに時計の針は午後6時を指し示した。



すると、教壇の前の空気がわすがに歪み、そこに生神亮治の姿が映し出された。