加藤先生が真剣な顔つきで革製のクラッチバッグから紗栄子の遺書を取り出した。



そして加藤先生はその遺書に目を落として、静かな声で読み始めた。



『3年2組の皆さん、私はあなたたちが私にしたことを決して忘れません。



私はあなたたちにいじめられて、地獄のような毎日を過ごしていたのです。



そんな私は弱くて、臆病で、ダメな人間だったのかもしれません。



でも、そんな私でもあの屈辱の日々が悔しくて、苦しくて、どうしようもなかったのです。



私は自分の未来に絶望して命を絶ちます。



でも、それで私の恨みや憎しみがこの世から消えるわけではありません。



私は死んでもなお、あなたたちに復讐しようと思っているのです。



私を直接いじめた人はもちろん、私がいじめられているのを見て見ぬフリをした人に私は復讐の鉄槌を食らわせたい。



だから少しだけ待っていて下さい。



今度はあなたたちに私が絶望を見せる番です。



あなたたちが地獄の中で苦しむ様を私は楽しみにしているのです』