海は店の時計を見た。
もう10時を回っている。
今日の椿の出勤時間は8時半の予定だ。
「椿ちゃん、来ないですね。どうしたのかな」
凌駕も作業の手を止めて時計を見ている。

椿が連絡もなしに遅刻するのははじめてだ。
「凌駕。電話してみて。」
海の言葉で凌駕が店の電話から椿の携帯に連絡を入れる。

「・・・でませんね・・・」
繋がらなかった電話を切って、凌駕がもう一度時計を見る。
「どうしたんだろう・・・」
海も心配だ・・・。


「なにかあったんですかね。昨日具合は大丈夫そうだったけど・・・」
凌駕が前日の椿を思い出す。
海も振り返るが気になる様子はなかった。