「姫莉ちゃん姫莉ちゃん、放課後遊びに行かない?」
「ごめんね、今日も用事で…」



「姫莉ちゃん、お昼、どう?」
「あ、いく」



「姫莉ちゃん、好きな動物は?」
「カピバラかな?」
「どーして?」
「頭悪そうな顔してるから」



体育祭の後、結局いつも通りに戻った姫莉ちゃん。
ただ、残念ながらあのリレーの猛烈なスタートダッシュを見せた美少女が姫莉ちゃんだって特定されないはずもなくて。
モテモテのモテ状態。
噂によれば休みの日にどこぞの男とデートしてたりしてなかったり。


それでも俺は姫莉ちゃんに話しかけ続けた。
理由は簡単。
落とすって決めたから。
それと、俺のことフったの、ちょっと根に持ってるから。


「姫莉ちゃん、次のお休み遊びに行かない?」
「ごめんね、約束あって」


…他の男の先約、まだ週の始まりなのにね。
手強い。


そんなことをしているうちに、関係性なんて何も変わらず、進展なしのまま夏休みに入った。


頭の悪い俺は夏休みの前半、午前中は補習まみれ。
でもまぁ、午後からゴリゴリにバイト入れた。
8月に入ってからはバイトまみれ。