美紅が転向して来てから、姫は優と登校することがなくなった。優をなぜか避けるようになってしまったのだ。いつもより早く起きて、支度をして家を出る。

姫が急に態度を変えたことに、優は何も言ってこなかった。ラインでも何も言ってこない。美紅の方がいいのかなと姫はまた涙をこぼす。

美紅は、優にベタベタしているが、美人なため何も言われない。二人は誰が見てもお似合いだ。そんな話を誰かがするたびに、「恋なんて、オシャレなんて、しなきゃよかった」と姫は後悔する。

地味子から抜け出すため、ファッション誌を読んでたくさん姫は勉強した。そしてオシャレな服屋へ行って一生懸命服を選んだ。

初めて選んだ姫のワンピース姿を見て、「似合ってる」と優は照れながら言ってくれた。その瞬間に姫は恋に落ちたのだ。

「……そんなことがあったんだ」

愛たちに話しても、心の悲しみが癒えることはない。桜が手を取った。

「そんな時はさ、甘いものをいっぱい食べようよ!甘いもの食べて悲しみを吹き飛ばしちゃおう!」

「……ありがとう」