━━2018年4月…。

のどかな道を、なつきとまなみは歩いていた。

「なんか空気が美味しく感じるね。」
と、まなみ言った。

「うん。」
なつきは頷いた。

「ところで、なつき…。」
とまなみが訊いた。

「何?」
なつきは、まなみを見た。

「なつきが読んでた、ネット小説って何だっけ?」
と、まなみが訊いた。

「笹美月(ささ・みづき)の《8月8日の約束…》の事?」
と、なつきは答えた。

「そうそう、そんな感じの。」
と、まなみが言った。

「それがどうかしたの?」
なつきは訊いた?

「それ、面白い?」
とまなみが訊いた。

「うん、私はわりと好きだけど。」
と、なつきは答えた。

「私も今度、読んでみようかな。」
と、まなみが答えた。

「読んでみれば。」
と、なつきは微笑した。

「でも…。」
と。まなみは言いかけた。

「どうしたの?」
なつきは、まなみを見た。

「作者の《笹美月》って、名前の響きはいいけど…」
まなみは、なつきを見て、
「冴えないオジサンだったりして。」
と、悪戯っぽく笑った。

━━まなみん、やかましいわ!(苦笑)
( ̄∇ ̄)

「かもね。」
と、なつきも微笑した。

━━おいおい、なっちゃんまで!(苦笑)
┐( ̄ー ̄)┌


━━二人は、引越し先のアパートに到着した。

丁度、引越し業者のトラックも到着した。

なつきとまなみは、引越し業者のスタッフに、家具の置き場所を指示しながらも、何か重い空気のようなものを感じていた。


━━引越し業者が帰った後…。

「ねぇ、なつき…。」
まなみが声を掛けた。

「何?」
なつきは、まなみを見た。

「……。」
まなみは少し間を置いて、
「やっぱ…空気…違う…よね…?」
と、恐る恐る言った。

「う、うん…。」
なつきは頷いた。

━━明らかに、空気が違う…。
誰かがいるような気配がするのだ。

二人は、横に並ぶようにして話していたが、何か、後ろから視線のようなものを感じた。

「何か…後ろにいる気がするの…。」
なつきは、小声でまなみに言った。

「わ、私も…。」
まなみも小声で答えた。

「…見てみる?」
なつきは、まなみに言った。

「う、うん…。」
まなみは頷いた。

━━二人は、お互い、アイコンタクトを取ると、一斉に後ろを見た!

「!?」
「!?」
━━二人は、絶句した!!

二人の後ろには、10人近くの人らしきものが立っていたのだ!

━━明らかに、この世の者ではない、青白い顔をした侍の様な姿をした幽霊が立っていたのだ…。

「ここって…。」
まなみが呟く。

「3LDK…。」
なつきが呟く。

「バス…。」
と、まなみ。

「トイレ…。」
と、なつき。

「幽霊付き!?」
「幽霊付き!?」
二人は、顔を見合わせた!!