暗かったステージが突如、まばゆい光に包まれる。

怖そうな男性たちが、ラウド系の激しい音を奏で始めた。


「スクリーミンズ、始めるぞこらぁぁぁああ!」


熱いシャウトによりライブがスタートした。


ボーカルは金髪のイケメンさん。時々シャウトも交え激しい歌声を響かせる。

ギター、ベース、ドラムもそれぞれ爆音を奏でていて、ステージ近くではファンらしき男女が拳をあげている。


「すごいですね! こんなにすごいバンドの方がドラム叩いてくれるなんて!」


この前、スタジオにいたドラムのお兄さんの正体は、葉山さんという20歳の男性。

今ステージで演奏をしているバンド『スクリーミンズ』のドラマー。

かけもちで私たちのバンドのドラムもやってくれることになった。


クノさんはひそかに弾き語りでライブハウスに出ていて、そこでドラマー探しをしていたらしい。言ってくれたらいいのに。


腕組みをしてステージを見るクノさんはこう答えた。


「まあ、かっけーな。どーせすぐ追い越すけど」


さすが。自信たっぷりですね。


スクリーミンズはこのライブハウスで人気のある実力派バンド。

ラウドな音に英語の歌詞。有名バンドとの対バン経験もある。

もちろん葉山さんのドラムは豪快かつ正確でめちゃくちゃ上手い。


葉山さんはライブハウスで歌っていたクノさんの曲に惚れたらしく、かけもちでもよければ一緒にやりたい、と言ってくれたとのこと。


「来てくれてありがとー。あれ、今日はジャージじゃないんだ。あははっ」


ライブ終了後、たばこ片手に葉山さんが挨拶に来てくれた。


肩までのパーマヘア、腕には彫られた模様が入っている。

怖い人かと思ったけれど、ドラムを叩いている時以外は穏やかな笑顔。

きっといい人なんだと思う。


帰り道、珍しくクノさんは悩んでいた。


「ライブするにはまだ曲が足りねーなー。作んなきゃな~」


まだ名前はないけれど、バンド活動はスタートしている。

私ももっと頑張ろう!